🪴 苔寺(西芳寺)とは|一面の苔に包まれた別世界

京都の苔寺・西芳寺に広がる美しい苔庭の風景 洛西エリア
筆者撮影

京都には数多くの名刹がありますが、その中でもひときわ特別な存在なのが苔寺(西芳寺)です。境内一面に広がる苔の庭は、日本だけでなく海外でも高く評価されており、「一度は訪れたい京都の名庭園」のひとつとして知られています。

苔寺という愛称の通り、境内には100種類以上ともいわれる苔が生い茂り、足を踏み入れた瞬間に空気が変わるような感覚に包まれます。観光地としてのにぎわいとは一線を画し、静寂と自然の美しさが見事に調和した空間です。

参拝は完全予約制という特別な拝観形式が採られており、その点も苔寺ならではの魅力のひとつとなっています。


✨ 苔寺の歴史|聖徳太子ゆかりの地から禅寺へ

苔寺として有名な西芳寺の本堂


(筆者撮影)

西芳寺の歴史は非常に古く、起源は飛鳥時代までさかのぼると伝えられています。伝承によれば、聖徳太子がこの地に草庵を結んだことが始まりとされ、当初は法相宗の寺院でした。

大きな転機が訪れたのは鎌倉時代。臨済宗の高僧・夢窓疎石がこの地に入り、荒廃していた寺を再興しました。彼は池泉回遊式庭園を作庭し、現在の苔寺の原型を築いた人物でもあります。

もともとは苔が美しい庭というよりも、池を中心とした優雅な庭園でしたが、度重なる洪水などによって地形が変わり、やがて自然に苔が広がっていきました。人の手で意図的に作られたというよりも、自然の力と長い年月が生んだ奇跡の風景といえるでしょう。


🌿 苔寺最大の魅力|一面に広がる苔の庭園

苔寺の庭園は、上下二段構成の独特な造りになっています。

下段は池泉回遊式庭園となっており、黄金池(おうごんち)と呼ばれる池を中心に散策路が整備されています。池を取り巻くように広がる苔は、まるで緑のじゅうたんのように美しく、陽の光が差し込むと幻想的な輝きを放ちます。

上段は枯山水庭園で、静寂の中に凛とした緊張感が漂います。苔のやわらかさとは対照的に、石組みと白砂が織りなす世界は、禅の思想を感じさせる空間です。

苔は日々の管理が非常に難しく、庭師たちが細心の注意を払って手入れを続けていることも、苔寺の美しさを支える大きな要素となっています。


🙏 写経から始まる特別な拝観体験

苔寺では入山前に写経を行います。最初は少し緊張しましたが、筆を進めるうちに自然と心が落ち着いていきました。

静かに筆を取り、一文字ずつ丁寧に経文を書き写す時間は、日常ではなかなか味わえない貴重な体験です。観光というよりも、心を整える修行のようなひとときになります。

綺麗に書こうとすると緊張して上手く書けなくなる(私の経験です)ことも多いので、背筋を伸ばしリラックスして、何なら深呼吸もしてゆったりした気持ちで取り組むことが大切です。

予約制で少人数ですので急かされることもなく、係のお坊さんの対応も丁寧で親切でしたよ。

写経が終わると、いよいよ庭園の散策が許されます。この流れがあることで、苔寺の静寂さと神聖な雰囲気が守られているのだと思います。

写経のあとで庭園を歩いてみると、苔の風景がより深く心に残ったように感じます。


🍁 四季折々の美しさ|苔と自然の共演

春は新緑が苔庭を包み込み、若々しい生命力を感じられます。
夏は苔が最もみずみずしくなる季節で、深い緑の世界が広がります。
秋になると木々が紅葉し、緑の苔とのコントラストが美しい景色を描きます。
冬は雪が積もった苔庭が、墨絵のような幻想的な世界へと変わります。

どの季節に訪れても違った表情を見せてくれるのが、苔寺の大きな魅力です。


🪴⛩ 周辺のおすすめ神社仏閣

苔寺の周辺にも、落ち着いた雰囲気の神社仏閣が点在しています。

松尾大社は酒造の神様として古くから信仰を集めてきた神社で、力強いエネルギーを感じさせる場所です。

月読神社は静かな森の中に佇む神秘的な神社で、苔寺とはまた違った魅力があります。

鈴虫寺(華厳寺)も比較的近く、願い事で有名な幸福地蔵に手を合わせるのもおすすめです。


🚃 アクセス方法

  • 阪急嵐山線「上桂駅」から徒歩約19分
  • 京都駅から京都市バス73系統で「苔寺・すずむし寺」下車 徒歩約3分
  • 西芳寺には駐車場はありません。周辺の有料駐車場をご利用ください。(私は予約可能な駐車場を利用しました。安心ですからね。)

💴 拝観料金

拝観料:おひとり 4,000円以上
(写経料を含む。季節によって変更される場合あり)

完全予約制となっており、往復はがきまたは公式の予約方法(オンライン)での申し込みが必要です。(1月と2月は参拝休止となることがあるので注意が必要です。)

ちょっとしたお話

私は大学一年のときには嵐山に下宿していました。今から半世紀も前のことです。西芳寺(苔寺)は下宿から近かった(阪急嵐山線で二駅め)ので参拝に行きました。

そのころの寺社の拝観料はほとんどが無料で西芳寺も無料だったと記憶しています。御朱印もスタンプとスタンプ台が置いてあるだけで勝手に御朱印帳に押印していくスタイルでした。

その後、京都の観光地化が進んで寺社が拝観料を徴収するようになりました。

さらに西芳寺は苔の庭園のために多くの人が参拝に来ると苔の痛みも懸念され、そのため予約制にして少数参拝制も導入しました。

拝観料を徴収し始めた当時はネットがありませんでしたので往復はがきのみの予約で、料金は3,000円以上でした。もう一度行ってみたいと調べたところ、「高っ!」と思って止めたのが20年くらい前です。

その後、往復はがきとネットでの申し込みとなり料金は4,000円以上になっています。

拝観料が~円以上となっているのは、拝観料とは言うものの参拝冥加料のことであり、最低金額が定められているということです。お寺の運営上やむを得ないことですね。


📚 苔寺のトリビア(豆知識)

① 苔の種類は100種類以上
庭園に生育している苔は、実際には100種類以上に及ぶと言われています。

② もともとは苔の少ない庭だった
現在の姿は自然災害によって生まれた“偶然の産物”です。

③ 世界的なガイドブックでも高評価
海外の有名観光ガイドでは「死ぬまでに行くべき場所」に選ばれた実績があります。

④ 西芳寺に檀家はいない                              西芳寺には檀家はいないため、その運営は参拝料(参拝冥加料)で賄われています。


🪴🌟 まとめ

苔寺(西芳寺)は、単なる観光スポットではなく、心を落ち着け自然と向き合う特別な場所です。

静かな空間で写経に向き合い、苔の庭を歩く時間は、日常生活では得られない深い癒しを与えてくれます。

京都に何度も訪れている方にも、ぜひおすすめしたい名刹のひとつです。

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