京都・東山の観光地・清水寺と八坂神社の間に位置する「八坂庚申堂(やさかこうしんどう)」。
正式には「金剛寺庚申堂」といい、日本最古の庚申信仰のお堂として知られています。
境内を彩るカラフルな「くくり猿(さる)」がSNSでも人気を集め、
近年では“映える京都スポット”として国内外から多くの人々が訪れるようになりました。
この記事では、そんな八坂庚申堂の歴史や由緒、見どころ、参拝方法、アクセス、そして周辺カフェ情報まで詳しく紹介します。
八坂庚申堂とは?|日本最古の庚申信仰の地
八坂庚申堂は、正式名称を「大黒山金剛寺庚申堂」といいます。
平安時代の初期、天台宗の僧・安恵(あんえ)によって創建されたと伝わる、日本最古の庚申信仰寺院です。
「庚申(こうしん)」とは、中国の道教に由来する信仰で、人の体の中に棲む「三尸(さんし)」という虫が、庚申の日の夜に天に昇ってその人の悪行を報告すると信じられていました。
これを防ぐために、庚申の日の夜に眠らずに過ごす「庚申待(こうしんまち)」という行事が行われ、それが庚申信仰の始まりとされています。
この八坂庚申堂は、平安時代から現代まで途切れることなくその信仰を守り続けてきた貴重な寺院で、
人々の「願い」「欲」「煩悩」と向き合う場所として、今も多くの人々に親しまれています。
見どころ①:カラフルなくくり猿
八坂庚申堂といえば、なんといっても境内を埋め尽くすように吊るされた「くくり猿」。
これは、手足をくくられた猿の形をした布のお守りで、「欲をひとつ我慢すれば願いが叶う」という意味が込められています。
人間の欲望を抑えることで、心が清められ、願い事が天に届く――そんな教えを可愛らしく象徴したものです。
参拝者は、くくり猿に自分の願いを書き込んで奉納します。
その色とりどりのくくり猿が吊るされた光景はまるで万華鏡のようで、
「日本一フォトジェニックなお寺」とも呼ばれるほど。
写真映えスポットとしても有名で、SNS上では「#八坂庚申堂」「#くくり猿」で多くの投稿が見られます。
見どころ②:本堂と青面金剛(しょうめんこんごう)像
八坂庚申堂のご本尊は「青面金剛(しょうめんこんごう)」です。
青い顔をした憤怒の形相の仏様で、悪を退け、煩悩を断ち切る守護神として信仰されています。
この青面金剛は、庚申信仰の中心的存在であり、庚申の日には特別な法要も行われます。
本堂の前では、三猿(見ざる・言わざる・聞かざる)も祀られており、「悪事を見ない・言わない・聞かない」という教えを象徴しています。
境内の雰囲気は静かで落ち着いており、色鮮やかなくくり猿とのコントラストが見事です。
華やかさと精神性が共存する、まさに“京都らしい”空間といえるでしょう。
見どころ③:願いを叶える「庚申さんの教え」
庚申信仰では、「欲をひとつ我慢すると願いが叶う」とされます。
例えば、「恋人が欲しい」と願うなら、「自分中心な考えを改める」など、自らの欲や執着をひとつ抑えることが大切。
八坂庚申堂では、参拝の流れとして以下のような方法がおすすめです。
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手水舎で心身を清める
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本堂で手を合わせ、願いを心に念じる
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くくり猿に願いごとを記入
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奉納し、青面金剛に感謝の祈りを捧げる
この一連の流れを通じて、欲を手放し、心を整える体験ができます。
現代のストレス社会において、こうした“心のデトックス”の場としても注目されています。
見どころ④:季節ごとの美しさ
八坂庚申堂は一年を通じて美しい風景を見せてくれます。
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春(3〜4月):桜が咲き、くくり猿とのコントラストが華やか。
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夏(7〜8月):緑に包まれた境内が爽やかで、浴衣姿の参拝者も多く見られます。
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秋(10〜11月):紅葉とくくり猿の色が溶け合い、まさにフォトスポットの最盛期。
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冬(12〜2月):雪化粧の庚申堂は幻想的な雰囲気に包まれます。
どの季節に訪れても、色彩豊かな境内の美しさに心が癒されることでしょう。
歴史と信仰の背景
庚申信仰は、もともと中国の道教から伝わった「三尸信仰」に由来します。
人の中に棲む三尸の虫が、60日に一度やってくる庚申の日に天へ昇り、天帝に悪事を告げる――
それを防ぐために、庚申の夜にみんなで眠らずに祈る「庚申待(こうしんまち)」が行われたのです。
この庚申待が日本に伝わったのは平安時代。
当時の貴族や僧侶の間で広まり、京都では八坂庚申堂がその中心的な役割を果たしました。
やがて、庶民の間でも「悪いことをやめ、正しい道を歩む」という教えとして根付いていきました。
その思想は現代にも通じるもので、心の整理をするために訪れる人も多いのです。
お守りと授与品
八坂庚申堂では、くくり猿のほかにもさまざまなお守りが授与されています。
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開運守:運気を上げたい人に人気。
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健康守:病気平癒や長寿を願う人におすすめ。
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恋愛成就守:恋を叶えたい人向け。
また、くくり猿の小型版をストラップとして持ち歩くこともできます。
お土産にもぴったりで、旅の思い出にもなります。
アクセス・拝観情報
住所:京都市東山区金園町390
電話番号:075-541-2565
拝観時間:9:00〜17:00
拝観料:無料
アクセス方法:
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京阪「祇園四条駅」から徒歩約10分
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阪急「京都河原町駅」から徒歩約15分
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市バス「清水道」または「東山安井」下車 徒歩約3分
清水寺や八坂神社、円山公園、建仁寺などが徒歩圏内。
観光ルートに組み込みやすく、写真撮影にも最適です。
周辺のおすすめスポット
カフェも多く、祇園の町家を改装したおしゃれなお店で一休みするのもおすすめです。
周辺カフェ情報
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祇園NITI(ニチ):わらび餅とアイスが人気の和スイーツカフェ。
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アラビカ京都東山店:コーヒーとくくり猿の写真が映えるスポット。
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茶寮都路里(つじり):老舗の抹茶スイーツを楽しめる定番店。
参拝のあとは、京都らしい甘味を味わいながら、写真を整理する時間も楽しみましょう。
まとめ|カラフルな願いが集まる庚申さんの寺
八坂庚申堂は、単なるフォトスポットではなく、「人の欲を見つめ直す」ための心の寺でもあります。
くくり猿に願いを託し、青面金剛に手を合わせることで、心の整理がつき、新しい一歩を踏み出せる――
そんな不思議な力が感じられる場所です。
京都を訪れたなら、ぜひ一度足を運んでみてください。
カラフルなくくり猿の中に、あなたの願いもきっと見つかると思いますよ。


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